おじゃまします!手づくり市出展者さま Vol.62「西賀茂かばん~河本かばん教室~」

今回は「西賀茂かばん~河本かばん教室~」さんにおじゃましました。
代表の河本幸雄さん、一番弟子の長崎大地さんと二番弟子の川本有哉さんを交え
色々なお話が聞けそうです。

Q:屋号から気になったのですが、鞄屋さんから始まったのか、
教室から始まったのかを教えてください。

(河本さん)
「私は鞄づくりを52年間やってきまして、65歳の時会社を閉めました。
 そこで、近所の人たちでも鞄づくりを教えようと教室を始めました。
 最初の弟子志望の子と手づくり市知恩寺さんに出展しました。けど、
 その子は家業継ぐことになり1年で辞め、次に来た子が長崎くんです。今、
 3年目になりますが問屋に収めて商売するよりもユーザーさんと直接商売する
 方が良いのではないかとの話しで継続し、次に川本くんが来てより成果が出て、
 これなら充分に色々な方面にも広げられると思っています。」

Q: もともと河本さんが鞄づくりを始めようとした
きっかけは?

(河本さん)
「母親が近所の服・鞄を作って売っているところで
 手内職していたら、良い場所があったんで、そこを
 改造してお店をやって欲しい依頼が来て。で、基本的に
 儲かるんやったらやりたいと話をしたら、
 『将来有望!』と言われ、まぁやってみようかと
 思ったのが最初のとっかかりです。」

Q: 長崎さんはどういった形でここへ?

(長崎さん)
「鞄作りたいと思ってインターネットで調べていて、
 ここが一番自分にとって合いそうだと思ったので師匠に頼みました。
 僕は神戸出身で馴染みもあり、大学を卒業してからは大阪中心に仕事して
 いたのですが、その中の仕事でものづくりに関わっている時が一番自分に
 しっくりきたので、一番自分の好きな素材の革をアート的なものでなく
 生活になじむものにしたいとの想いで鞄づくりを目指しました。」

Q: 川本さんはどういった形でここへ?

(川本さん)
「僕も鞄を作りたいと思いインターネットで調べたら、鞄作りたい人募集って
 書いてあったんで来て、先生に『鞄で食べて行きたいんか?』って言われて、
『食べていきたいんです。』って言ったら、『じゃ、わしのとこ来い。』って
  言ってくれはったんで来ました。最初は何も得意なものがなく、
  それなら出来ないとこからやってみるのも面白いかなとの想いが先でしたが、
  先生と会ったらやってみたいに変わってました。」

Q: 先生はどういった経験を積んでこられたのでしょうか?

(河本さん)
「私は戦後生まれで物がない時でね、ものづくりと言っても言われたことしかできないという状況でした。
 とにかく儲けたい、10年で100年分儲けたいが私の思いでした。それなら勤めていてもしょうがないし、
 自分でやるなら自分で開発し、決めたことは全部しようと思ってやっているうちに、10年位で200人位
 外注を使い始めることが出来て、やっとこれで一生生きて暮らせるなと思いました。そしたら今度は
 良いもの作りをしたくなって、30歳くらいから50歳位までやりましたね。普通職人さんは新しいものづくりは
 やらないんですよね、でも私はバッグも、デザインも、今までにないものを作りたい想いでやり続けました。
 それが今、ある程度評価されて注目されるようになったんです。」

Q: 教室はどんな感じですか?

(河本さん)
「今まで繊維などの素材だけを作っていた人たちが、形にしたいがどうしたらいいかの悩みがあって、
 それを解決するために通ったりしてくれて、ある程度今のところはうまく皆が教室を利用してくれています。」

Q: 手づくり市でも、高級革素材の作品を販売されていますね?

(河本さん)
「手づくり市でいえば、
『一番になろう!だから他では出来ない鞄を、
 お客様を親身に考え作ることをしよう!』
 これをうちのメインにしていこうかと思っています。
 手づくり市にこの馬革があって、イタリアの革があって、しかも安い!
 なんでこんな良い物を使うのかというと、まず安く提供する努力、
 使うお客さんに対してやさしいもの作りをしたい気持ちの現れなのです。

 作ったものを出して、一般のお客さんがどんな評価をしてくれる
 のか、どんな購買層の方が買ってくれるのか、これを知り
 どう作っていったら自分たちが将来こういうもので飯が食えて、
 大成していけるかを考える。
 良いものが出来ることにより、評価されてお客さんが
 ファンになってくれて、買いにも来てもらえる状況を作りたい
 って事が今の夢なのです。
 この二人にはそこそこ有名になってもらって儲けてもらいたい。
 まず、儲けてもらいたいのも本音です。」

Q: この素材でリュックみたいなものがあったりして、びっくりしているんですが。

(河本さん)
「リュックに関してはね、まず作りにくいから誰でもやらない、玄人もやらない、メーカーさえもやりたがらない。
 やりたがらないけれども時代の流れがリュックにきてると私が読んで、作っています。作りにくいけど、
 やることにより技術も上がるし自信もつくし、革でエレガントで、個性的なものをテーマにして他にない
 見たこともない、そういうものを背負ったこともないってものを作って出したら、手づくり市でも驚くやろな、
 そして価格を見たら安いとまたびっくりして、確かに作りにくいし大変ですが。
 この子はリュック、この子はボディバッグとある程度決めてやっていけばやっていけるんやないかと思います。」

Q: 教える方法に何か独特の方法と言うかコツがあるのですか?

(河本さん)
「プロの方が来て『これ作るの大変やろ?本当にこれを教えていはるの?みんなよう辛抱強く習うてるな。』
 って言います。
 でも、皆まとめて教えているんです。出来ない事は私がそこで手を添えてマンツーマンという形で教えてもいます。
 そうしないと覚えられへんし、出来るようにはなりません。角度変えて縫うなんて口で言っても出来るようには
 ならないから説明するには実践が一番いいと。普通は教える言うたら、『見て覚え!』って、
 やっているところ見せて、いつやっているかも分からない、それでは教えられへんや。
 教えるなら、自分がやって、そこへ座らせて手を添えて教えるのが教えることであって、それでないと
 10年かかって教えても忘れてしまうからダメ、身体と一緒に覚えてもらうんです。でなければこんな難しいものは
 作れない、他の人が真似出来ない変わったものを作ろうっていうのが基本的な考え方ですね。」

Q: 若い方たちがものづくりだけで食べていけることが、ベストと思うのですか?

(河本さん)
「それはね、やっぱり資金と場所の問題があるんですよね。
 私はもうこの場所はものづくりの中で
 みんなに自由に使ってもらおうと思うてる。
 ここにきた限りは
 食っていけるスタンスがもう出来ているんです。
 これを上手に利用して欲しい、
 ただ自分の発想もなくただ作っているだけではあかん。
 自分がやるってことをやって、経営者でもあり、
 デザイナーでもあり、職人でもあり、営業もやって、
 そしてエンドユーザーとの付き合いを大切にしていったら
 必ず食っていけると思います。」

(長崎さん)
「いつも二人して言ってるんです、ここにたどり着いたことが宝くじに当たったみたいって、
 他にこんな環境はないですね。」

Q: お二人は、手づくり市でしんどいこと、嬉しかった
 こととかありますか?

(長崎さん)
「しんどいのは、革製品なので雨降ったり、大雪降ったりの
 お天気ですね。嬉しいのは、リピーターさん来てもらったり、
 自分のデザインを試せる場はありがたいな。」

(川本さん)
「いろんな人の声が聞けるのが一番大きいですね。
 かわいいなぁとかかっこいいねと言ってくれはるのも
 もちろんですけど。『高い!』とか、『ここもうちょっと
 こういうデザインだったらな…』っていうのも有難いですね。
 直接本音が聴ける場所なんて貴重ですね。」

Q: 河本さんは、手づくり市に対してどう思いますか?

「ここやったら個性的なものがあるって、新しいもの見たいって人がいらっしゃいますね。
 今、テストみたいな形で売りに行くのも事業の一環。
 手づくり市は、お客さんとの接点もあるし、いろんな業者さんとの接点もあるし、
 販売することがどういうものか、人の繋がりっていうものわかる場であるとこだと私は感じています。」

掲載日2017.5.13

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