京都から北へ北へと車を走らせると、
囲う緑の中に古民家が見え、目指す
「工房じつかん」の看板がありました。
出迎えていただいたのは、代表の齋藤實寛さん
と笑顔が素敵な奥様の斎藤一子さん。
澄んだおいしい空気をおもいきり吸い込んで、
早速おじゃましました。
Q: この家はとても天井が高く、素敵な空間ですね!
齋藤さんは綾部のご出身なのですか?
「いえいえ、私は京田辺に住んでいて
定年後にこちらに移り住みました。」
Q: それまでは何をされていたのですか?
「サラリーマンです。
もともと物をつくることは好きでしたが、
人に喜ばれた記憶はあまりないですね(笑)」
Q: 行燈つくりは、こちらに移られてから
始められたのですか?
「いえ、定年後に始めました。」
(奥さま)
「作業の音などでご近所の方に気を使うこともあるし、
二人でゆっくり出来ることも考え色々と住む場所を
探したのです。」
「2.3年位各地を二人で廻りましたね。やっと見つけた
この場所も、最初は伸びた笹で家が見えなかったくらい
荒れていました。
不動産屋さんが言うには、20年ほど空家だったらしいですよ。
でも、畑、海、山があり私たちの理想にぴったりだったので決めました。」
Q: 手づくり市には京田辺にお住まいの時から
出展なされていたのですか?」
「そうです、手づくり市の出展は6年前からですね。
最初は二人で出ていましたが、こちらに来てからは
遠いので一人で出ています。」
(奥さま)
「ずっと同じ場所に出させていただいているので、
周りの方とも仲良くなれ楽しかったのですけど、
犬もいてなかなか家を空けられなくなりました。」
「よく、『奥さんがいたほうが売れるだろう!』
など言われましたよ(笑)」
Q: ほんとに背も高く、几帳面そうな方が
立っておられると近寄り難いかも知れませんね。
「あ、僕は几帳面と言われるのが
大の苦手でつらいのですね(笑)」
Q: 行燈をつくられるきっかけは何でしたか?
「息子が店を開く時に少しインテリアの勉強をしていた
私が手伝い、色々と作ったところ珍しがられて色々と
制作を依頼されたのがきっかけですかね。
最初は行燈というものに固執はしていなかったのですが、
見られた方が注文をされたり、行燈に電気を入れ
灯りがつく瞬間の喜びがエスカレートしたことが
大きなことでした。」
Q: それで直線と角が気持ち良く混じり合う行燈が
生まれたのですね。
「丸も出来なくはないですが、やはり性格ですかね(笑)」
Q: 行燈に貼られる紙はどうされているのですか?
「全国に紙を探しに行っています。」
Q: お一人で廻っているのですか?
「いえ、家内と二人で各地の和紙を見に行っています。
紙だけではなく、京友禅の着物生地や謡の教本を
用いたりもしています。」
Q: 本当に行燈が艶っぽく見えますね。
「いろいろ試行錯誤して作っていますが、最初の家内のチェックが一番厳しいですわ。」
Q: 市に出展されてどうでしたか?
「最初は1つだけ売れました。
そしてお客様からオーダーが色々出てきて、それに応えようとつくる。
この繰り返しから市での楽しみが始まった気がします。
もちろん売れることは嬉しいですが、ここでの出会いはとても貴重なものです。
水上勉先生の挿絵を描いておられる渡辺淳(すなお)先生とお知り合いになれたことなど感慨深いこともありました。
Q: 工房にも行燈を展示されているのですか?
「アライグマやイノシシや鹿や猿が出るこの田舎にわざわざ来てくれる方がいます。
その方々のためにも、行燈を楽しめる部屋で少しは作品を見てもらおうと飾りました。」
A(奥さん)
「主人が定年になったら地方で暮らしたいと思っていました。
雪は大変ですけど、ここで野菜もつくり、海も近いから魚もおいしいですよ。
主人と二人、自然の中で生きている感じですね(笑)」
「憧れの暖炉をいれ、大変ですが薪割りもしますよ。
自然の中での行燈作りです。(笑)」
Q: 最後に齋藤さんの憧れは何ですか?
「そうですね、ずぼらになることですね。(大笑)」
齋藤さんは昼間の行燈のように、
キリッと背が高く角張って見えますが、
本当は灯りのともった行燈のような方です。
もっと気楽に、この暖かさにふれてみてください。
「”癒しの灯り”工房じつかん”」 出展者インフォメーションページはこちらから >