社会人になった時、「自分の欲しいものは自分で作りたい」との想いにかられ、
仕事をしながら彫金教室に通い始めた「kukuLu」代表の喜多健一さん。
海が好きだから、一度は海の見える場所にということで神戸に引っ越したそうです。
奥様の真理子さんのさわやかな笑顔に出迎えられ、おじゃまします。
Q: 屋号であるkukuLuのいわれを教えてください。
(真理子さん)
「kukuLuはネパール語で犬の意味があり、沖縄では
心の意味があります。
それに、標準語ではくくる、結ぶ意味もあります。
私たちは犬が好きで、沖縄が好き、好きな言葉が
この中に沢山詰まっているのです。それと、
特定の意味を持たす言葉よりお客さんが覚えやすく、
響きからイメージし易いシンプルな言葉を屋号に
したかったのです。」
Q: 奥様のアイディアが沢山活かされているのですね。
(真理子さん)
「そうですね、この人は創ること以外には
興味を持たない人なんです。(笑)」
Q: どんなきっかけで彫金を始められたのですか?
(健一さん)
「元々は物作りが好きだったので、自分の身につける物が
欲しくて作ろうとしたのです。でも、彫金は
最初の入りが難しく本を読むだけでは無理なので、
京都の伝統的な彫金教室に仕事をしながら通いました。」
Q: それから彫金の仕事だけにシフトされたのですか?
(健一さん)
「そうですね、知恩寺さんに出るようになってから
専念しました。」
Q: 彫金の魅力は何ですか?
(健一さん)
「扱うものは無機質な金属なのですが、
それを冷たいものではなく生き生きした物に変えていく、
そのことに楽しさを感じて作っています。
これからもアクセサリーはずっと作っていきますけど、
だからと言って彫金だけに固執することはないかも
知れませんね。この先自分が何に興味を持ち始めるか
わかりませんから。(笑)
彫金には色々な技法があり、それを磨くことで
出来ることが増えてもきました。それで金属を
漆や木や七宝焼きなど他のものと組み合わせても
面白いかなと考えているのです。」
Q: 作品をみると、女性的な繊細さがうかがえますが、元々神経質な方ですか?
(真理子さん)
「物作りに於いては繊細と思います。」
(健一さん)
「細かい作業がもともと好きなんでね。
販売するとこで小さいものを作っていると、面白がってくれるお客様とかもおられますしね。(笑)」
(真理子さん)
「4、5年前よりも技術がついて、元々小さかったものがより小さなものになっていますね。(笑)」
Q: 作品の特長は何ですか?
(健一さん)
「うちはね、何やろうね…
コンセプトとかも良く聞かれんですけど、その時々で自分が作りたいものを作っているので、
あるような無いような感じですね。(笑)
作品の幅が広く細かいので、見たらここのものと覚えてもらえているのが特長ですかね。」
Q: 作りたい物はどこから刺激を受けるのですか?
(健一さん)
「自分から作る時は技法から入ります、この技術を使って
ピアスを作ってみようとか考える場合です。
それとは逆にお客様から『花』とかのお題をもらって
それを作るために試行錯誤してより良い方法を
見つけ出す場合とかですね。」
Q: お花とか柔らかいお題をもらったりした時、
硬いイメージの金属でどうそれを表現するか、
どのようなとこに気配りされるのですか?
(健一さん)
「物により勿論変わっていくのですが、機械を使わないので
ちょっとした溝を彫るとか、仕上げていく金属の角を
落として丸みを出すとか、光の感じで変わるので
平面がきれい過ぎると平らにしか見えなくなるので、
表面をうねらせ生き生きした感じを出したりとか、
色々と考えながら作っています。
その方が表現出来て1点1点変わっていき
同じ物にはなりませんからね。」
Q: 作品には生活感のある物から動物までと幅広い
ですが、お好きなテーマはどの方面なのですか?
(健一さん)
「どちらも最初は糸ノコの練習として作っていました。
動物などは、最初は上手く透かせず不細工な物を
作っていましたが、各々の個性があるので
それはそれで可愛いと思っていました。
上達すると上手く抜けるようになるのですが、
綺麗過ぎて不細工だった動物に
多く注文があったりして。(笑)」
Q: これからの目標は何ですか?
(健一さん)
「直接お客さんと繋がれる場があれば、
お店は持たなくて良いかなと思っているので、
楽しく続けられることですかね。
結構細かい作業が多いので、
年配の職人さんなどに『若いうちだけやで!』
とか言われるのですが、出来なくなる物もあるかも
知れませんが、積み重ねて出来ることもあると思うので、
今より出来ることを増やしていって本当に
いい歳になるまで続けることが目標ですね。」
kukuLuさんはイベントなどでワークショップなども開いているそうです。
チャンスがあれば参加して、あなたのオリジナルアクセサリーを作ってみて下さい。