「たまもの」の代表は平尾健さん。
「30歳までは、ぐしゃぐしゃ生きなきゃ!!」と言う大学恩師の言葉を胸に、色々な
経験を重ねようと南米へ旅立ったり、アルバイト・会社勤め・農業研修などを体験します。
そして「とんぼ玉」との出会いを期に手づくり創作活動を開始しました。
Q: 屋号を「たまもの」にしたのは?
「たまものの意味である『賜りもの』と『ガラス玉』
のたまをかけたものですね。(笑)
創る作品が特別な意味の物になったら良いな
との想いをこめてつけました。」
Q: 大学を卒業されさまざまな国を旅されていた
とのことですが、どこの国がよかったですか?
「面白かったのはインドやペルーですね。
僕は先進国にはあまり興味がなく、少数民族や
独特の文化を持つ国が好きなのです。
日々の祈りや食文化などに興味が湧きますし、
生活が貧しい国ほど人々は生き生きしている。
それを旅で実感する度に『豊かさって何だろう…』
って考えてしまっていました。」
Q: 農業もされているとのことですが、
どんなものを作られているのですか?
「無農薬でお米とか季節の野菜を作っています。
自給自足まではいきませんが、
生きることの豊かさが
感じられる生活を目指しています。」
Q: 旅で得られたものはなんでしたか?
「世界は広くて多様!!ってことでしたね。(笑)
やっぱり日本で毎日同じ生活をしていると、
視野や価値観が狭くなることを感じましたね。」
Q: バーナーワークに興味を持たれた
きっかけは何でしたか?
「20代のころ、どんな生き方をしようかと考え、
もがいていたころがありました。
旅先でとんぼ玉の本を読んでいた人がいて、
『とんぼ玉』の持つ言葉の響きに魅かれ、
調べていくうちに、
これなら自分でもできそうだなと思い
独学で始めてみました。
それまでは
ガラスに特別な思いがあった訳ではなく、
大学で映像学科という自分の手先を使わない
創作を学んでいたので、
自分の手からリアルに物が生まれる事が
新鮮で面白くて、熱中しているうちに
すっかり虜になりました。」
Q: 手づくり市に出展されてどのくらいになりますか?
「約22年前位ですか。
自由奔放に出展していて、今のスタイルが確立する前のゆるい時代でしたね。(笑)
草木染をしていた知り合いのご夫婦に誘われて参加したのです。」
Q: 市に出展していて嬉しいことはありますか?
「お客さんに接しながら喜ぶ顔を見ることが嬉しくて、モチベーションに繋がりますね。
他の会場にいくと、お客さんと作家の境界がきちっと引かれているようで、僕は苦手なんです。
創っている作品の数も多いので、お客さんも迷ってしまいます。
だからゆるい中でおしゃべり出来る手づくり市は自然体の僕には合っているのですよ。(笑)」
Q: お客さんの年代は?
「小学生からおばあちゃんまで幅広いですが、30代から40代の方が中心です。」
Q: 作品を見ていると、繊細だし色合いもカラフルで
その中にユーモアを感じるのですが、
どんなことを大切にしながら
作品を作っているのですか?
「もう長くやっているので、どういったものに
人気が集まるのかはわかります。
生活のためにそれを作ることも勿論必要ですよね。
でも、それだけでは行き詰まってしまうので、
最近では初心に戻り純粋に自分の好きな物も
作ろうって思っています。
ちょっとゆるい気持ちで作ったものは
お客さんが笑う、それを見て僕も嬉しいのです。
僕は独学でここまで来たので、
自分のセンスが大切だと思っているのです。
ですから、今では人に習わなかったことが
逆に良かったとも思います。
出来るだけありのままの自然体でいたい
と思っていますし、
それは皆がなくして欲しくない事だとも思うのです。」
Q: これからの目標があれば教えてください。
「特に大きな夢はないですね。(笑)
今のスタイルが続けられるよう、
今を楽しみ、目の前にあることを大切にしていく。
がむしゃらに頑張る性格でもないし、
良くも悪くも自然体でいくことしか
出来ないので。(笑)
ガラスは溶けている時間でしか形付が出来ず、
リアルに短い時間が全てなのです。
だからバーナーワークは僕にとって、
とても面白く魅力的なのです。
Q: もし、平尾さんが違う仕事につかれたとしたら、
何をしたかったですか?
「バーナーワークに出会わなければ、
山のガイドとか土の上で生きていく仕事に
就いたと思いますよ。(笑)」