Q: 和寂(わさび)と言う屋号は、手づくり市に出展するために
つけられたとお聞きしましたが、謂れを教えてください。
「着物のもつ和と、侘び寂びの寂を取り、しっとり感のある
静かな古風で味わいのあるものづくりをしたいと想い
つけました。」
Q: 三倉さんが洋服を作るようになった経緯を
聞かせてください。
「若い頃は10年ほどグラフィックデザイナーをしていましたが、
両親の介護と子どもの体が弱く、外に出られなく、
それなら家で出来ることをと考え、子どもの服を作ろうと
洋裁を始めました。その後イベント関係の方からお声がかかり、
お仕事を頂くようになりました。」
Q: 洋裁は独学だったのですか?
「そうです、外に出ることは出来なかったので、最初は担当の方に電話で習いながら衣装を作り始めました。(笑)
そして、テーマパークや遊園地のキャラクターの衣装を作るようになり25年が経ちました。」
Q: 手づくり市に出展しようと思われたのはどうしてですか。
「衣装作りは型紙通りに作る仕事だったので、手づくりの服を作りたい願望が高まっていき、
着物が好きだったので、何とかこれを取り入れた洋服づくりをしたいと考えていました。
自分で着る物は洗濯がし易く着やすいニットが好きだったので、そこに着物の柄を取り入れる
オリジナル作品を作り始め、着物の柄をアップリケのように貼り付けたのでは一体感がないので、
洋服地に着物地を合わせ、いちから作ることにしたんです。」
Q: これが和寂の洋服作りのこだわりであり、
特徴でもあったのですね。
「そうですね、
着物地の柄を大事に取り入れるのに
グラフィックデザイナー時代の独自の感覚が
活かされているのだと思いますね。
それとニット生地を縫うこともなかなか難しいのです。
これも25年の丁寧に縫う仕事の技が
活かされたと思っています。
それと、家で洗濯出来るように、
着物地を水に浸けたり、芯を貼ったり、
ステッチを掛けたり、出来上がってからの
縮みができないように手間をかけています。
その為に数は沢山作れませんが、
私の姪の縫製が丁寧で一緒に制作しています。
私にとっては大切な右腕ですね。(笑)」
Q: 手づくり市に出展されて感じたり、思われる
ことがあれば教えてください。
「出展は姪の協力があり続けてこられました。
友達に紹介され10年間ほどになりますが、
好きなことをして作った作品をただならば別ですが
お金を出して買ってもらえることは、凄く嬉しいこと
であり励みにもなります。
市では色々なお客様と話すことが出来、
お役に立てればと作り方を話す時間も多くなりました。
また遠方からホームページを見て来て下さる
お客さまもいらして、出展しがいがあります。」
Q: 手づくり市では拝見していませんが、
身体に障害がある方にも着やすい
洋服づくりをされているとか?
「ホームぺージに掲載しているのですが、以前から
留袖と黒ニットを使い座り易い留袖の洋服は作って
いました。
友達が脳梗塞になりましたが、結婚式に出たいとの
話がありフォーマルニット地を使い、座り易くして、
留袖の柄を前と、記念写真を撮る時にも車椅子に
なるので膝下の留袖も見えるように配置し、
着物を着ているように見えることを考えて
つくりました。お祝用のドレスも作っています。」
Q: これからの目標があれば教えてください。
「手づくり市から始まりデパートに出せるように、
自分のレベル向上とともに作品のレベルも
上げていきたいと思います。
レベルアップを図ると生地もより良いもの選択します、
Tシャツ生地にしても着物生地と一体化したい。
洗濯が出来る。が基本なので見えない細分にも
気配りをしています。
そのためにどうしても値段が高くなっていってしまう。
それが気苦労なのです。それでも買っていただける
魅力ある商品を作っていきたいと思っています。」
「和寂」代表の三倉晴代さんはとても優しく、気配りをされる方だと
インタビューをしていても感じられます。
そしてそれが、創られる洋服の随所に活かされているのだと思います。