「かなきよ」さんは、三樹僚太さんが代表のパン屋さんです。
お父さんの寝ずに働くパン職人としての姿を見て一緒に働くようになり、
今では手づくり市でも列の出来る人気店までになりました。
今日は、お父さんの三樹文男さん、お母さんの三樹陽子さんも交えお話を伺います。
Q: 屋号『かなきよ』のいわれを教えてください。
(僚太さん)
「お恥ずかしいですが(笑)、
息子の「かずきよ」と娘の「かなみ」の名前から
つけた屋号なのです。」
(陽子さん)
「この子は本当に子煩悩なんですよ。(笑)」
Q: 屋号もご自身のホームぺージでは「かなきよ」
の表記ではなく「KANA-KIYO」の表記が
あるのですが、使い分けしておられるのですか?
(僚太さん)
「最初、枚方で始めた時は『かなきよ』でしたが、
当初のコンセプトと変わり始めた感があり、イメージ
に近い『KANA-KIYO』表記を使い始めています。」
Q: 最初はお父さんが
パンの製造卸をされていたのですか?
(文男さん)
「ベーカリーミキという結構忙しいパンの製造卸を
していました。息子と一緒にやっていたのですが、
私は小売りが苦手、息子は小売りがしたかったので
枚方に息子は店をだしました。
私は家内が更年期障害になったとき、
イソブラボンの入ったパンを試行錯誤して作って
食べさせたら良くなったのですよ。それで
このパンの追求をしようと工場を閉めました。」
(僚太さん)
「枚方で店を始めたのですが、
大雨の災害で店が浸水して機械が全滅してしまい、
その修理費も大きな金額になるので続けることを
断念しました。その後に他の仕事もしたのですが、
物をつくりたい気持ちと、
パンのお店への想いが断ち切れず、
パンを作る設備のある父の元に帰りました。」
(文男さん)
「だから皆でもう一度店が持てたら良いと
息子を応援しようと決め、私は雑用や配達もしています。(笑)」
Q: パン作りはお父さんを手伝われた時に覚えられたのですか?
(僚太さん)
「周りに良い職人さんがたくさんいたので、見て学んだり、教えてもらったりしました。」
(陽子さん)
「でも、この子はほとんど独学でしたね。」
Q: パンにハード系とやわらかいパンとありますが、どう言う種類分けなのですか?
(僚太さん)
「口当たりもありますが、ハード系はシンプルで小麦粉と水と塩のみを使ったもので、
主食になり得るもの、他のパンはバターや卵を使ったお菓子みたいなパンですね。」
Q: それと低温長時間熟成パンとありますが、この特徴は何ですか?
(僚太さん)
「パンの種類によってパンを発酵させる時間を1週間、3日、直前のものと変えていっています。」
Q: それはお父さんの時からしているのですか?
(文男さん)
「私がパン作りを習った先生が、
長時間発酵を日本で初めて広めた方でした。
普通のパン作りは酵母をある程度混ぜると
時間が経つと膨らみます。
膨らんだら発酵し過ぎないうちに焼かなければ
なりません、つまりパンが熟成しないうちに
焼くことになります。
長時間熟成パンは低温で発酵を抑え、
長時間おいて置くことにより熟成し、
香りが生まれ小麦粉のおいしさも出てきます。
ですから短時間では作れないので効率は悪くなりますが、
出来る限りパンのおいしさを引き出せるように
手間暇はかけているのです。」
Q: 新作のパンを作る時のご苦労はありますか?
(僚太さん)
「試行錯誤し、没になったパンはたくさんありますが、
僕は新しい売れ筋のパン作りよりも、
市やイベントに来て下さるお客さんや自分の友達に
こんなパンがあれば喜んでもらえるのではないかな…
とその笑顔を思い浮かべ作っています。
それが自分の中でのパン作りの基本なのです。」
(陽子さん)
「少し風変わりで頑固なんです。(笑)」
Q: 誰に似たのでしょう?
(僚太さん)
「両方ですかね。(笑)」
Q: 手づくり市に出展されようと思われた
きっかけは何ですか?
(陽子さん)
「パンを売ることを考えていた時、
娘の手伝いで行った手づくり市のことを思い出し、
一度この人のパンを出してみて、
どれくらい人に認められるかと思い出展しました。
そしたら、最初においしいかどうかわからないので
1個買ったお客さんが、
『さっきおいしかったから、また来た!』と
また買われていきました。
それがその日に何度もあって、持って行ったパンも
早い時間で全部売れてしまいました。
それがとても嬉しくて、これならば大丈夫かと思え、
梅小路で臼井さんに色々教わりながら
今日まで続けてきたのです。」
(文男さん)
「今の市での陳列も
息子がマルシェ、市場をイメージ出来る販売を
考えました。40年前からパン屋さんの売り方は
ほとんど変わりませんが、商品も販売イメージも
新しくしていこうとしています。」
Q: これからの目標、夢はなんですか?
(僚太さん)
「色々と勉強させてもらいながら手づくり市に
出させてもらっていますが、将来パン屋としてでなくても、
お客さんと一緒に楽しめる場所としてのお店が 持てたら良いなと思います。」
今は、”イベント” “手づくり市” でしか買えない貴重な「かなきよ」さんのパン。
香り豊かなこだわりパンを是非とも食べてみてください。